KIWA極めるほど、際へゆく。

連載 裾光 裾光 001 ── イワヒバの庭 ── 2026-08-03

枯れたように見える緑は、本当に終わっているのか。

棚の隅で動かない小さな鉢。その中で、天保14年から続いているものがある。

イワヒバの庭のキービジュアル(抽象的な光の情景)

一見すると、眠っているだけの鉢に見える。けれど実は、天保14年(1843)から第74号まで版を重ねてきた銘鑑と、鉢の中の時間・手入れ・継承を支え、名前を知った人の見る順序を少し変えている。

イワヒバには名前がある。品種として登録された名が282、まだ登録されていない名が787。名前は版に刻まれ、版は183年、途切れずに更新されてきた。植物に名があり、家系があり、番付がある——世界でも類例の少ない、生きた記録文化である。

色は、太陽が描く。常緑のはずのこの植物は、一鉢のなかで季節を巡り、月ごとに葉の層の色を変えていく。乾けば葉を巻いて眠り、水で目を覚ます。枯れたのではない。眠っていただけ。

今日できる一歩: 資料館で名前と季節から入る。最初の一鉢を知る。観察の記録に、参加する。

出典: イワヒバ資料館(銘鑑 1843–2026 / 登録282品種・未登録787名鑑)

WHY EDGE ── なぜ端か

参加人数の軸では下の端——愛好家は個々に分かれ、多くの人の目に触れない。記録の継続時間の軸では長い側の端——名前を版で刻む文化が183年続く。この非対称が、端の光。

見出す暗がりに、目を慣らす。
結ぶ離れた灯を、引き合わせる。
交わる火種を混ぜて、新しい火を焚く。
響かせるその火を、遠くの夜まで運ぶ。

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